2週間前に発生した、Windows Server の「記憶域」障害は、
2週間経って、ようやく 復旧させることができた。
今回、障害にみまわれた仮想ディスクは、次の2つである。
1.14TBのミラーボリューム(8TB×2台 + 6TB×2台 = 4台構成)
2.6TBのシンプルボリューム(3TB×2台 = 2台構成)
結果は、
1のミラーボリュームの方は、データを完全復旧できたが、
2のシンプルボリュームの方は、全滅だった。
なぜ2週間も経ったかというと、
特殊なソフトを使って無理やり復旧させる過程で、
何度か失敗し、試行錯誤があったからである。
でも次に同じ障害にみまわれた場合に、
今回の経験は活かすことができる。
将来の自分が、今回の経験を活用することができるように、
このブログに、備忘録を残しておきたいと思う。
<障害の原因について>
起動ドライブのSSDのブート部分が損傷したことで
OSを再インストールしたが、バージョンの差異により、
(おそらく新しいバージョンのOSを上書きした)
「記憶域」の仮想ディスクの構成部分が上書更新され、
アクセス不能に陥った、という事象である。
「記憶域」を構成するシステム情報は、Windows OS ではなく、
対象のハードディスク内に記録されているはずなので、
OSを上書きインストールしても ディスク構成が変わらなければ
影響は受けないはずだ、というのが事前の知識だった。
事実、OSの再インストールの途中では、
「記憶域」の仮想ドライブは正しく認識されていた。
起動後、「Server Core(GUI無し)」を誤って選択していたことに気づき、
別のインストールDVDから、インストールをやり直した後、
Windowsの「記憶域」のディスクにエラー表示がされており、
再起動して Windows Update が適用されたら、
もうディスクがどこにも表示されなくなってしまった。
Microsoft社のドキュメントを見ると、
エラー内容は、次のものに該当するようだった。
———————————————————————————————————
ドライブの正常性状態:異常
認識されないメタデータ
記憶域スペースで認識されないメタデータがドライブで検出されました。
これは通常、ドライブに別のプールからのメタデータが含まれていることを意味します。
アクション: ドライブをワイプして現在のプールに追加するために、ドライブをリセットします。
———————————————————————————————————
ドライブをリセットするということは、データがすべて消失することを意味する。
つまり、正攻法では、解決手段がない、ということだった。
障害の原因については、このように分析しているが、
真の原因は、
「バックアップを完全にとっていなかったこと」である。
バックアップはとっていたが、バックアップ先も「記憶域」だったので、共倒れしてしまったことになり、意味をなしていない。
今回、復旧できなかった 6TBのシンプルボリューム の仮想ディスクがバックアップ先である。
<購入したもの>
・ソフト「ReclaiMe Storage Spaces Recovery」 40,060円
・ソフト「ReclaiMe File Recovery Standard」 10,709円
・内蔵ハードディスク 8TB 15,320円(税込)
・内蔵ハードディスク 10TB 20,400円(税込)
・内蔵ハードディスク 10TB 20,400円(税込)
・その他、変換ケーブル等
全部で約10万円以上の出費があったが、
他人に支払っただけで終わりの「費用」ではなく、
購入したモノが手元に残り、別用途にも活用できる資産である。
<データ復旧の経過>
いろいろと失敗&試行錯誤はあったが、
最終的に成功した手順は、次のとおりである。
このとおりにやれば、次回も復旧できるはずであるが、
「ミラーボリューム」になっていることが条件になる。
「ReclaiMe Storage Spaces Recovery」を起動し、
仮想ドライブを構成しているディスクを選択して「Start」ボタンを押す。
(対象とする仮想ドライブは1つだけにする)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime01.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime02.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime03.png)
解析結果が表示されるので、その結果が「Good」であることを確認する。
ここまでは、ソフトを購入しなくても、実行可能であり、
結果が「Good」ならば復旧できるのだから、40,060円で購入して先に進めばよい。
あるいは、もう一つのソフト「ReclaiMe File Recovery Standard」だけを 10,709円で購入して、部分的なリカバリ(ファイル救出)を試みるという選択肢もある。
先に進む場合は、「Save config」ボタン右の ▼印を押して、
「Save raw sectore-by-sector image file」をクリックすると、
ソフト購入後に画面表示される シリアル番号 の入力が済むと、
ディスクイメージファイル(拡張子 .img)の出力先を指定できる。
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime04.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime05.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime06.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime07.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime08-1024x610.png)
今回の場合、ディスクは 14TBのミラーボリュームで、実質 7.390 TBだったので、
1回目は、8TBのディスクを出力先に指定したけれども容量不足エラー
2回目は、10TBのディスクを出力先に指定したけれども容量不足エラー
3回目は、8TBと10TBをつなげた18TBのスパニングボリュームを指定してエラー解消
という経過をとったが、1回目と2回目は、まる1日かかり、3回目は2日くらいの時間を要した。
3回目で、約14TBのディスクイメージファイルが出力できたので、
それをマウントすれば復旧完了のはずだったが、
「ディスクイメージファイルが壊れています」のエラーが出て、マウントできなかった。
仕方なく急遽、「ReclaiMe File Recovery Standard」のソフトを 10,709円で追加購入し、さらにその出力用として、10TBのハードディスクを追加購入した。
「ReclaiMe Storage Spaces Recovery」ソフトから「Recover files」ボタンを押すと、
最初に選択した、「記憶域」対象ディスクからのファイル復旧を試みる。
最初はこの方法でやってみたが、復元対象ファイルとして、
見知らぬファイルやフォルダがどんどん表示されていく。
どうやら、過去に削除したフォルダまでもが対象になるらしい。
対象となるフォルダだけを選んで復元してみると、ファイル内容が壊れているものが多すぎたので、途中で処理を中断した。
時間ばかりかかるけれども、これでは役に立たない!
次に、マウントできなかった 約14TBのディスクイメージファイル(.img)ファイルを指定して、復元をしてみると、余計なファイルやフォルダは表示されなくなった。
そして、フォルダ単位で復元を試みると、壊れているファイルは皆無だった。
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime14.png)
![](https://shunichi.hosono.com/wp-content/uploads/2022/04/reclaime15.png)
半日以上の時間を要したけど、ようやくすべてのファイルを 10TBハードディスクに復元することに成功した。
復元できた後は、
「記憶域」の仮想ディスクを再作成して、ROBOCOPYコマンドを使ってファイルをコピーした。
今度は、14TBのような大きなボリュームは作らずに、8TB と 6TB の2つのボリュームに分割した。
万が一、次回、今回の方法で復元することになった場合は、10TBのハードディスクが使えるからである。
今回の 10TBハードディスクは、現時点のバックアップとして、しばらくオフラインにして、保存しておこうと思う。