つい数年前までは、.comのドメインの更新を忘れて期限切れになっても、約2ヶ月間は使えていたし、停止させられても払えばすぐに復活していた。そして、とうとう払わずにドメインが削除されてしまえば、また登録すればよかった。
それが今は少し事情が変わってきている。
期限が切れて数日経つと、直ちにドメインが停止され、ステータスが REGISTRAR-HOLD になる。そしてさらに放っておくと、ステータスが REDEMPTIONPERIOD (請戻猶予期間)というふうに変わり、通常の支払処理ができなくなってしまう。そして約2ヶ月後に、ステータスが PENDINGDELETE に変わり、削除される、という段階を経る。
(http://www.nic.ad.jp/ja/dom/gtld-policy/rgp.html 参照)
ちなみに、ステータスが REDEMPTIONPERIOD の時にドメイン復活を申し込むと、法外な料金の請求が来る。Network Solutionsの場合、通常料金($35)の4倍以上の $150 を要求される。
さて、最近よくある相談として、今まで使っていたドメインが突然アダルトページに変わってしまった、というのがある。どういうわけかみんな、ドメインが切れたら再登録しようと思って待っていたら、ホームページが突然「カリビアンコム」になってしまったというパターンである。
今はドメインの再登録の予約注文(back-order)ができるようになっているので、ドメインが切れてから再登録するという方法は通用しなくなっている。
「他に誰も取らなそうな名前だからわざわざ再登録する人はいないだろう」と考えるのは甘い。期限切れ間近のドメイン名のリストは公開されているので、実際に使われているドメインであれば、名前の良し悪しに関わらず、ドメインを買い占める業者によって予約注文(back-order)が入れられてしまう。そしてそのドメインはオークション市場に流れるか、あるいはアダルトサイトへの入り口として活用されることになる。
こうなってしまった場合は、ドメイン紛争処理を扱う機関等を頼って解決するしかないが、100%成功するとは限らず、しかも時間とお金がかかってしまう。
<参考>
日本知的財産仲裁センター http://www.ip-adr.gr.jp/
BRANDY社のドメイン紛争処理支援サービス http://www.brandy.co.jp/domain/saver.html
だから、大切なドメインの更新を忘れて期限切れになってしまった場合は、遅くともREDEMPTIONPERIOD (請戻猶予期間)の期間中に、少し割高であってもドメイン復活を申し込んでおく方がよい。REDEMPTIONPERIOD になってからの予約注文(back-order)は私の経験だと、勝率はあまり良くない。
どうしようもない場合には、私はいつも次のようにアドバイスしている。
(1)まず冷静になって、影響先を調べること(サイト利用者、リンク元ページ 等)
(2)ドメイン名紛争処理について専門家に相談し、どうするかを決めること。
それと並行して、
(3)代わりの新しいドメインを取って、新サイトをスタートさせて育てておくこと。
(4)影響先に新しいドメインのアナウンスを行なうこと
めでたくドメインを取り戻せたら、そのドメインをメインで使い、暫定ドメインはホームページ転送にする。
最近はこういう状況なので、社名変更等の理由で旧ドメインを削除する時は、ドメイン名をすぐに削除するのではなく、最低でも1~2年は維持してホームページ転送にしておくことをお勧めしておきたい。 アクセス数が多かった企業のドメイン名は特に狙われやすい。旧社名でアクセスしてくれた人がアダルトサイトを見てしまうことがないように、ぜひ気をつけて欲しいものである。